ダイヤフラムポンプを選ぶときは、価格やメーカー名だけで判断するのではなく、使用する液体や必要な流量、吐出圧力、設置環境まで確認することが大切です。
特に薬液注入や腐食性液体の移送に使う場合、用途に合わないポンプを選んでしまうと、吐出量が安定しない、部品の劣化が早い、メンテナンスの手間が増えるといったトラブルが起きかねません。
ここでは、ダイヤフラムポンプを選定するときに確認したいポイントを紹介します。
ダイヤフラムポンプの選定では、まず「何のために使うのか」を明確にしましょう。たとえば、排水処理で薬液を少量ずつ注入したい場合と、廃酸や腐食性液体を移送したい場合では選ぶべきポンプが異なります。
薬液を決まった量だけ注入したい場合は、定量注入に適したタイプを選びます。次亜塩素酸ソーダや中和剤などを安定して注入したい現場では、流量の調整がしやすい定量ポンプが向いています。
一方で、薬液や廃液を別の場所へ移送したい場合は、移送用途に適したエア式または電動式のダイヤフラムポンプを選びます。大量の液体を送る場合や粘度のある液体を扱う場合は、定量性だけでなく、移送能力や耐久性も重視しましょう。
酸性・アルカリ性の液体、溶剤、薬液、食品原料、スラリーなど、扱う液体によって適した材質は異なります。使用液に合わない材質を選ぶと、ポンプ本体やダイヤフラム、バルブなどの劣化が早まり、液漏れや吐出不良の原因になります。
そのため、選定時には使用液の種類だけでなく、濃度、温度、比重、粘度、腐食性、固形物の有無まで整理しておくことが大切です。価格や流量だけで判断せず、液体の条件に合う材質を選べるよう、事前に情報をそろえておきましょう。
次に確認したいのが、必要な流量と吐出圧力です。
流量とは、一定時間にどれくらいの液体を送る必要があるかを示すものです。薬液を微量注入するのか、中容量で注入するのか、大容量で移送するのかによって適した機種は変わります。
少量の薬液を正確に注入したい場合は、小型の定量ポンプが候補になります。中和剤などを比較的大きな流量で注入する場合は中容量タイプが向いています。フィルタープレスへの圧送など、高い圧力と大きな流量が必要な場合は、大型の定量ポンプや高圧対応タイプを検討しましょう。
ただし、必要流量ぎりぎりのポンプを選ぶのはおすすめできません。常に最大能力に近い状態で運転すると、負荷が大きくなり、安定運転や長期使用の面で不利になります。必要流量に対して、ある程度余裕を持っておくことが重要です。
ダイヤフラムポンプには、エア式、電動式、ソレノイド駆動式など、いくつかの駆動方式があります。用途に合った駆動方式を選ぶことも大切なポイントです。
エア式ダイヤフラムポンプは、圧縮エアを使って駆動するタイプです。構造が比較的シンプルで、薬液やスラリー、粘度のある液体の移送に使いやすいのが特徴です。防爆性が求められる現場や電源を使いにくい環境でも選びやすい方式です。
電動式ダイヤフラムポンプは、電気を使って駆動するタイプです。エア設備がない場所でも使いやすく、運転管理もしやすい点が特徴です。一定の流量で安定して運転したい場合や、エネルギー効率を重視したい場合に向いています。
ソレノイド駆動式は、電磁力でダイヤフラムを動かすタイプです。小容量の薬液を精密に注入したい場合に向いています。排水処理の薬液注入や次亜塩素酸ソーダの注入など少量を安定して注入したい用途で選ばれます。
ダイヤフラムポンプを選ぶときは、ポンプ本体の性能だけでなく、設置場所の条件も確認します。
電動式やソレノイド駆動式を使う場合は、電源仕様を確認します。100V、200V、DC電源など現場で使用できる電源に合った機種を選ぶ必要があります。また、使用場所の周波数も確認しておきましょう。
エア式を選ぶ場合は、圧縮エアを安定して供給できるかを確認します。必要なエア量や圧力が確保できないと、ポンプ本来の能力を発揮できません。
そのほか、屋内か屋外か、周囲温度、湿気、粉じん、防爆対応の必要性、メンテナンススペースの有無も確認しておくと安心です。
ダイヤフラムポンプは、ポンプ単体だけでなく周辺機器と組み合わせることで安定して使いやすくなります。
たとえば、吐出圧力を安定させたい場合は背圧弁、過剰な圧力から配管やポンプを守りたい場合は安全弁、脈動を抑えたい場合はエアチャンバーなどを検討します。
ダイヤフラムポンプは構造上、脈動が出やすいポンプです。脈動を抑えたい工程ではポンプだけでなく周辺機器まで含めて選定することが重要です。
ダイヤフラムポンプを選ぶときは、国内メーカーと海外メーカーの違いも確認しておきたいポイントです。
国内メーカーのメリットは、入手のしやすさとアフターサービスの受けやすさです。日本語でやり取りできるため、仕様確認やトラブル時の相談がしやすく、緊急時にも対応しやすい点が魅力です。
一方で、ダイヤフラムポンプを含む送液ポンプの分野では、海外メーカーの製品も有力な選択肢です。アメリカやドイツなど、ポンプ技術が進んでいる国のメーカーは、製品ラインナップが豊富で、用途に合わせて選びやすい製品をそろえています。コストパフォーマンスに優れた製品も多く、条件に合う機種を見つけやすい点が強みです。
ただし、海外メーカー製品を直接導入する場合、言語の違いや部品供給、問い合わせ対応の面で不安が残ります。納期確認やメンテナンス対応に時間がかかると、現場の稼働にも影響しかねません。
そのため、海外メーカーの製品を検討するなら、国内のベンダー企業を通して導入する方法がおすすめです。海外メーカー製品の豊富な選択肢や性能面のメリットを活かしながら、日本国内での仕様相談、導入支援、アフターメンテナンスを受けやすくなります。
ダイヤフラムポンプは用途、液質、流量、圧力、材質、駆動方式、設置環境まで確認して選ぶ必要があります。条件がひとつ変わるだけで、適した機種が変わるため、カタログ上の流量や価格だけで判断するのは避けたいところです。
特に薬液注入や腐食性液体の移送、スラリーを含む液体の送液では、ポンプ本体だけでなく接液部材質や周辺機器まで含めた選定が必要です。
海外メーカーのダイヤフラムポンプは、製品ラインナップが豊富で、用途に合う製品を見つけやすい点が魅力です。そこに国内ベンダーのサポートを組み合わせれば、製品選定から導入、メンテナンスまで相談しやすくなります。
自社の用途に合うダイヤフラムポンプを選びたい場合は、まず使用液、必要流量、吐出圧力、設置環境を整理したうえで専門知識のある国内ベンダーへ相談するのがおすすめです。
画像引用元:ジャパンマシナリー公式HP
(https://www.jmc.asia/products/wilden/)
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