| 企業名 | 化学メーカーA社 | |
|---|---|---|
| 業界 | 化学/溶剤加工(洗浄・希釈工程) | |
| 移送流体 | IPA(イソプロピルアルコール)、トルエン(混合溶剤) | |
| 設置エリア | Zone 1(タンク周辺・充填エリア) | |
当該ラインでは、引火性溶剤を原料タンクから工程タンクへ移送し、充填工程までを一貫して行っていました。設置場所は爆発性雰囲気が通常運転中にも発生する可能性があるZone 1に該当し、火花の発生・静電気帯電・通電部の発熱が重大事故につながるリスクを抱えていました。
導入前は既存ポンプを使用していましたが、溶剤の粘度変動や断続運転の影響を受け、ダイヤフラムやチャッキバルブの摩耗・詰まりによる停止が頻発していました。停止のたびに分解清掃や部品交換が必要となり、メンテナンス負荷と生産ロスが増大していた点が大きな課題でした。
さらに、トルエンなどの溶剤は帯電しやすく、充填作業時に静電気が発生する可能性がありました。既存設備ではアースの取り回しが十分とは言えず、静電気対策の不備が安全面での懸念材料となっていました。このように、安全性と安定稼働の両立が導入前の重要なテーマとなっていました。
防爆エリアでは、機器自体が着火源とならないことが最優先事項です。そのため、本事例では電動モーター駆動ではなく、電気部品を使用しないエア駆動式(AODD:Air Operated Double Diaphragm)ポンプを選定しました。
電動ポンプはモーター内部のブラシやスイッチ接点、インバーターなどが着火源となる可能性があります。一方、AODDポンプは圧縮空気を駆動源とし、構造上、電気的な火花を発生させる部品を必要としません。これにより、電気火花や通電部の発熱といったリスクを根本的に排除できます。
さらに、エア駆動式は空運転に強く、液切れ時でも焼き付きが起こりにくいという特性があります。引火性溶剤を扱う現場では、予期せぬ液切れや吸入不良が発生することもあるため、トラブル時でも安全側に動作する構造であることが重要な選定理由となりました。
防爆エリアで使用する機器は、単に「エア駆動式である」というだけでは不十分であり、公的な防爆規格への適合証明が求められます。本事例では、導入ポンプが日本国内の防爆規格であるTIIS(労働安全衛生総合研究所認証)または欧州のATEX指令に適合していることを確認したうえで採用しました。
ATEXでは、Zone 1やZone 2といった使用環境区分に応じて機器カテゴリが定められており、機器表記(例:II 2G Ex h IIB T4 Gb など)から使用可能エリアや温度等級を判断します。TIIS認証機器についても同様に、防爆構造および適用ガス分類が明示されています。
とくに引火性溶剤(IPA、トルエン等)を扱うZone 1環境では、適切な防爆グレードに適合した機種を選定し、導電性材質や確実なアース接続を併用することが必須条件となります。規格適合証明の有無は、設備安全性を担保するうえで最も重要な確認事項の一つです。
以下では、2025年2月28日時点で「防爆エリア ダイヤフラムポンプ 導入事例」とGoogle検索した際、検索結果1ページ目に表示されていた事例をピックアップし、防爆エリアでのダイヤフラムポンプ導入事例をまとめています。

ユニツール株式会社では、化学薬品や高粘度流体を取り扱うユーザーを中心に、防爆エリア向けに「AROダイヤフラムポンプ」を多数納入。エア駆動式かつ様々な材質ラインナップがあるため、化学・印刷・洗浄など多様な現場で活用されています。

サニー・トレーディング株式会社の事例によると、ペール缶内の溶剤を高所(2階)まで人力で運んでいたケミカルメーカーが、防爆エリアでも安心なエア駆動式ドラムポンプを導入。ドラムの浸漬長を短くカスタムし、取り回しを良くして設置しました。

ジャパンマシナリー株式会社は、WILDENのエアー駆動式ダイアフラムポンプを販売・アフターサービスまで一括提供しています。WILDENはスラリーや粉体混在、腐食性液体など広範囲な用途で選ばれ、防爆エリアでも実績が多いブランドです。

タプフロー株式会社の「PE & PTFE ダイアフラムポンプ」は、腐食性薬品や衛生面の厳しい食品・医薬分野などで実績多数。防爆エリア向けにエア駆動式を活用し、静電気対策としてアース接続にも対応しています。
エア駆動式ダイヤフラムポンプへの更新後、まず顕著に現れたのがトラブル発生頻度の低減です。従来機では月平均2〜3回発生していた停止トラブルが、導入後は約70%以上削減され、計画外停止はほぼ発生しないレベルまで改善しました。
また、部品交換や分解清掃に伴うダウンタイムも短縮され、年間換算で約40%のメンテナンス時間削減を実現しています。これにより、生産ラインの安定稼働率が向上し、工程全体のスループット改善にも寄与しました。
定性的な効果としては、Zone 1環境での使用において電気火花リスクを排除したことによる安全性の向上が挙げられます。作業者からも「引火性溶剤を扱う不安が軽減された」「設備点検時の心理的負担が減った」といった声があり、安全対策が現場の安心感につながっています。
引火性溶剤(IPA・トルエン)を扱う本事例では、静電気の蓄積が重大事故につながる可能性があるため、ポンプ本体・配管・タンクを含めた確実な接地(アース)施工を実施しました。アース抵抗値を管理基準内に収め、定期点検で導通確認を行う体制も構築しています。
さらに、接液部材には導電性グレードの材質を採用しました。具体的には、カーボン入りPTFE(導電性PTFE)ダイヤフラムおよび導電性ポリエチレン(PE)を選定し、帯電を抑制する設計としています。これにより、流体移送中に発生する帯電を逃がしやすくし、静電気放電リスクを低減しました。
防爆対策は「エア駆動式を選ぶ」だけでは不十分であり、規格適合機器の採用・接地施工・導電性材質の組み合わせを総合的に実施することで、はじめて実効性のある安全対策となります。本事例ではこれらを体系的に導入することで、安全性と安定稼働を両立させました。
防爆エリアでのダイヤフラムポンプ導入には、
が欠かせません。
今回ご紹介したとおり、各社が扱うダイヤフラムポンプには豊富なラインナップやカスタマイズ例があります。自社の流体特性や使用環境、防爆区分を鑑みて適したな機種を選ぶことが、設備の安全性と生産効率を高める大きな鍵になります。
防爆エリアで安心して運用できるダイヤフラムポンプをお探しの際は、事例があるメーカー・製品を比較検討してみてください。専門商社や代理店に相談すれば、求めている条件に適したモデル提案や導入後のサポートも受けられるため、設備投資のリスクを大幅に軽減できます。
画像引用元:ジャパンマシナリー公式HP
(https://www.jmc.asia/products/wilden/)
画像引用元:ジャパンマシナリー公式HP
(https://www.jmc.asia/products/almatec-futur/)
画像引用元:ジャパンマシナリー公式HP
(https://www.jmc.asia/products/quattroflow/)
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